Media
メディア詳細

ファン経済圏がマンガIPの可能性を広げる。コミックスマートとGaudiyが「GANMA!コミュニティ」で目指す未来

株式会社Gaudiy(以下、Gaudiy)は、マンガアプリ「GANMA!」を運営するコミックスマート株式会社(以下、コミックスマート)と共同で、ファンコミュニティサービス「GANMA!コミュニティ」正式版をリリースした旨を、本日のプレスリリースにて発表しました。

「マンガ家の職業価値を向上させ、子供たちの憧れの職業にする」をミッションに、GANMA!を通じて270以上ものオリジナル作品を生み出してきたコミックスマート社と、「ファンと共に、時代を進める。」をミッションに、ブロックチェーン技術を活用したファンエコノミー事業を推進するGaudiy社。

今回は、正式版リリースに至るまでの経緯から、マンガIPとファンコミュニティを掛け合わせた具体的な取り組み、今後の展望まで、コミックスマート取締役の福西 祐樹さん、同社でGANMA!コミュニティのプロデューサーを務める足立 昂貴さん、Gaudiyプロデューサーの中町 諒佑さんにお伺いしました。

■プロフィール(以下、敬称略)

コミックスマート株式会社 取締役/プロダクトオーナー 福西 祐樹
2006年セプテーニ入社。約10年間デジタルマーケティング事業に従事した後、2015年よりマンガコンテンツ事業のコミックスマートへ。オリジナルマンガを配信するアプリ「GANMA!(ガンマ)」のプロダクトオーナーとして、サービスのUI/UX、運営、マーケティングといったメディア事業全体を管掌する。

コミックスマート株式会社 プロデューサー 足立 昂貴
2020年セプテーニグループに入社。半年間、デジタルマーケティング事業に従事した後、2020年10月よりセプテーニ・インキュベートに転籍。グループの新規事業創出におけるリサーチを行う上で、IPとブロックチェーンが作る新しい社会システムへの可能性を感じ、コミックスマートへ出向。オリジナルマンガアプリ「GANMA!」の公式ファンコミュニティ「GANMA!コミュニティ」の運営、推進を行う。

株式会社Gaudiy プロデューサー 中町 諒佑
大学在学中にサンフランシスコに渡り、1年間VRスタートアップでインターンするなど、最新テクノロジーや文化に関わる。トークンエコノミーなど価値主義的なブロックチェーンの思想に惹かれ、Gaudiyにジョイン。現在は、ユーザー視点でのプロダクト設計に従事。

※本記事は、PR TIMES STORYの公開記事からの転載となります。

愛されるサービスにも、ファンの熱量を高めることに限界があった

——はじめに、マンガアプリ「GANMA!」とお二人の関わりについて教えていただけますか?

福西 「GANMA!」は、多様なジャンルのオリジナルマンガを読むことができるアプリです。2013年12月にスタートし、現在は累計1,500万ダウンロードを超えています。

私は、その運営元であるコミックスマートの取締役を務めており、この6年間ほどは「GANMA!」のプロダクトオーナーを兼務しています。Gaudiyさんとは、2020年2月にリリースした「GANMA!コミュニティ」のβ版からご一緒しています。

足立 私は、コミックスマートのコミュニティ事業において、事業企画から推進までを担っています。今回の「GANMA!コミュニティ」正式版では、プロデューサーとして企画・運営をメインに担当しています。

福西 コミックスマートは「マンガ家の職業価値を向上させ、子供たちの憧れの職業にする」というミッションのもと、オリジナルのマンガIPの開発にこだわってGANMA!という事業をマンガアプリ黎明期より運営してきました。

そこで私たちが大事にしてきたのは、コンテンツのカルチャーはティーンから広がっていくことが多いという事実です。サービス開発においても、10代、20代の若い人たちに使っていただきやすいかという視点を大切にしています。

わかりやすい例で言うと、他のマンガアプリはApple StoreやGoogle Playで17歳以上の年齢制限が多い中で、GANMA!アプリは12歳以上にレーティングされています(2021年11月時点)。また、読みたいときにすぐ読めるように登録不要でマンガを読み進められるようになっています。

▼マンガアプリ「GANMA!」

——GANMA!アプリを実際にみましたが、読者さんのエンゲージメントが高く、とても愛されているサービスだなと感じます。アプリ単体としても成功していた中で、1年ほど前からGaudiyとともにコミュニティサービスに取り組むことになったのは、なぜでしょうか?

福西 従来のGANMA!アプリの中にも、お絵描き機能やコメント機能など、コミュニティ機能に準ずるものはありました。ですが、一話一話に対する感想を話すことはできても、ユーザーさん同士で継続的につながる、盛り上がるという部分には一定の限界があるなと感じていたんです。

また、2016年からGANMA!で取り組んできたクラウドファンディングを通じて、「読者数」だけでなく「読者の熱量」そのものが販売実績を左右するという実体験があり、コンテンツビジネスを展開するにあたって「コミュニティ」は一つのキーワードとしてありました。

——関心の入口としては、先進技術ではなく、ユーザーの方々の熱量をいかに高めていくかというところだったんですね。

福西 はい。そうしたコミュニティの文脈があった中で、ブロックチェーンなどの新しいテクノロジーが、なにか新しいことを起こせるんじゃないかという漠然とした期待や関心があって。そこにGaudiy代表・石川さんとのご縁がタイミングよくあり、お互いの目指したい世界観やトライしたいことが一致して、ご一緒させていただくことになりました。

コンテンツとファンが「並列」の関係になることで生まれる、新しい価値

——実際に「GANMA!コミュニティ」のβ版を立ち上げてみて、どのような変化を感じましたか?

福西 そうですね。最も大きな変化としては、IP、つまりマンガコンテンツとファンの方々が「並列」の関係(※「対等」とは異なるニュアンス)になったということです。

▼コミックスマート株式会社 取締役/プロダクトオーナー 福西 祐樹さん

今までも、例えばサイン会の開催やファンレターなど、コンテンツ及び作家さんとファンの方々との交流や接点はありました。ですが、それはあくまで公式からファン、もしくはファンから公式といった「静的」なコミュニケーションだったと思います。

それが「コミュニティ」という場を作ったことで、「動的」なコミュニケーションが生まれ、IPとファンが並列関係になりました。コミュニケーションからコラボレーションが生まれたイメージを持っています。

ファンの方々が自発的に企画を立ち上げ交流し、それがTwitterにも染み出して作品が盛り上がる。さらに作家さんも自らコミュニティにサプライズで登場する、といった事象が起きたのは、並列の関係だからこそ実現したのではないかなと思います。

——Gaudiyでは中町さんがβ版から担当していますが、どのように感じましたか?

中町 私たちGaudiyの目線からも、GANMA!ユーザーさんの熱量はものすごいなと感じましたね。

日々の雑談チャットも活発ですし、新しいコンテンツが公開された時の盛り上がりやファンアートの投稿など、ユーザーさんが自ら作品を楽しんだり世界観に浸っている様子がありました。

中でも、一番印象に残っているのは、『猫娘症候群(かとるすしんどろーむ、以下かとるす)』の作者であるネコ太郎先生が喜んでくださったことですね。「#かとるすベストオブ尊い」というTwitterを活用したキャンペーン企画をしたところ、企画終了後に「マンガ家を頑張ってきてよかった」というツイートをしてくださって。

それを見て、ファンの方々だけでなく作家さんに喜んでいただけるのも、コミュニティの意義の一つだなと感じました。

▼ネコ太郎先生がお礼に描いてくださったイラストとコミュニティ内の反応

中高生のファンも楽しく参加できる「NFTオークション」の実証実験

——かとるすコミュニティでは、NFTを利用した新しい形のオークションにも挑戦したと思います。当時の取り組みを、詳しく教えていただけますか?

中町 はい。GANMA!オリジナルマンガの『猫娘症候群(かとるすしんどろーむ)』と、ブロックチェーンゲームの『クリプトスペルズ(以下、クリスペ)』のコラボレーション企画として、2020年7月に限定NFTアイテムのオークションを開催しました。

ここで大事にしていたのは、ファンの方々が誰でも楽しめるユーザーフレンドリーな体験設計です。Gaudiyでは最高のUXを届けることを第一に考えていますが、従来のNFTオークション方式では価格が高騰してしまうという問題がありました。

具体的に言うと、従来の競り下げ式オークションは、初期価格を高く設定し、そこから下げていく方式です。先着順に落札していくために、より投機的な要素が強くなっていました。

それを解決するため、実際の需要をベースにした競り上げ式の新しいオークションの形を、慶應義塾大学の坂井教授と一緒に開発しました。発行枚数を決める事前入札期間と、その価格を決めるオークション当日に期間を分けることで、適切な発行枚数と価格で販売することができました。

このような体験設計にしたことで、ブロックチェーンを知らない中高生のファンの方々も実際に楽しんで参加してくれましたね。

▼株式会社Gaudiy プロデューサー 中町 諒佑さん

福西 私はオークションに関する専門的な知識はないのですが、実際にやってみて感じたことは、対象となるアイテムに対して、ファンが「これくらい魅力的だ!」という意思の表明がしやすい仕組みだったかなと。

通常のオークションであれば、「1万円で買います」と一度挙手したら、もうその手は下げられないじゃないですか。でも今回のオークションは、落札価格が均一になる方式だったので、ファンが安心して意思表明できる、コミュニティと相性の良い形式だったなと思います。

——「意思の表明」というのはわかりやすいですね。そのオークションのアイテムが、NFTである必要性はどの辺りにあるのでしょうか?

中町 オークションで販売されたNFTアイテムは、ひとつのアイテムで複数の価値を持っています。どういうことかと言うと、かとるすのコミュニティでは二次創作権と配当権を持つ限定の「会員権」となり、一方のクリスペではゲームアイテムとして活用できるものです。

つまり、サービスを横断して異なる価値を持つことができるデジタルアイテムなのですが、これはNFTが、デジタル上でも物理的なモノと同じように「所有」と「移転」という概念を生めるからこそ提供できる体験になります。

さらに、ファングッズの売上の一部を、作者のネコ太郎先生や配当権を有するファンに還元する仕組みも提供しました。これは、マンガコンテンツの二次創作やグッズ販売を許可することで、クリエイター還元を実現する取り組みになります。

福西 説明を聞くと難しそうなのですが(笑)、ユーザーさんからの問い合わせはほとんどなく、技術的に難しい部分を理解せずともオークションに参加いただけました。ファンの方々にとっても喜ばしい体験であったことは、100を超える販売数が証明しているかなと思います。

ファンを喜ばせる体験を届けるため、お互いの強みを補完し合う

——β版にて様々な取り組みに挑戦してきた中で、今回、正式版のリリースに踏み切ったポイントはどこだったのでしょうか?

福西 実際にユーザーさんの動きを見ている中で、ファンの熱量を高めるというコミュニティの価値が明確に感じられたということ、またNFTアイテムの販売を通じてビジネスとしても成立するということが検証できたからですね。

ファンの方々が自主的に企画を立ててくれることが実際に起きていたので、私たちはファンの方々が活動しやすい場を提供し、その活動を促す機能や企画を展開することができれば、GANMA!から生み出されたIPがもっと広がっていきそうだなという手応えがありました。

——そのコミュニティにおいては、コミックスマートさんとGaudiyでお互いに協力しながら企画や機能を詰めてきたと思います。具体的にどう連携されているかお伺いできますか?

足立 私たちコミックスマートの強みは、IPホルダーとして作家の方々や読者の皆様と長年関わってきた中で、両者のインサイトや、IPコンテンツの活用に関する知見があることだと思います。一方、Gaudiyさんにはブロックチェーンなどの新しい技術や、コミュニティ領域の知見といった強みがある。

そのようなお互いの強みをうまく組み合わせつつ、どういった企画や体験を提供すればファンの皆様が本当に喜んでくれるのか、意見を出し合いながら一緒に作っています。

▼コミックスマート株式会社 プロデューサー 足立 昂貴さん

例えば、今実施しているGANMA!8周年を記念したファン投票企画を進める上でも、Gaudiyさんからどのような投票形式にすればよりファンを楽しませる体験になるかのアイデアをいただいたり、トライしてみたいことに対して技術的に実現可能な方法を提案いただいたりしましたね。

中町 コミックスマートさん側からは、その企画が本当に作品にマッチするか、という視点でアドバイスやご意見をいただきました。

IPのビジネスは、作家さんやファンの方々だけでなく、編集の方など本当に様々なステークホルダーが関わっています。そうした方々の視点をコミックスマートさんに取り込んでいただくことで、関わるすべての人に喜んでもらえる体験づくりを大事にしています。

各ステークホルダーの「信頼の積み重ね」が次の挑戦につながる

——お互いの強みを生かしながらうまく協業されてきた印象を持っていますが、とはいえ前例がないような新しい取り組みを推進してきた中で、ハードルはありませんでしたか?

足立 そうですね。先ほど中町さんがお話しされていたように、IPには非常に多くのステークホルダーがいるので、各関係者の理解を得ていくことは大変でした。

例えば社内では、GANMA!コミュニティを担当しているのは私と福西ですが、IP関連のコンテンツを使っていいかの最終判断は作家の皆様との距離が近い編集部が行います。ですので、まずは社内の理解を得るということがとても大事でした。

実際に「こういう世界観をコミュニティで作っていきたい」「ファンの皆様が喜ぶようなこんな体験をコミュニティを通じて提供していきたい」といった話を、編集部とのミーティングで直接伝えたり、全社のチャットツールでも発信したりして、「それだったら面白そうだな」「ちょっと取り組んでみたいな」といった空気を少しずつ作っていきました。

▼「GANMA!コミュニティ」正式版

——ビジョンなどを丁寧に共有しながら、社内の理解を得られていったんですね。作家さんに対してはいかがでしょうか?

福西 1年半前にβ版を始めた頃は、NFTというワードも全然世の中に広まっておらず、前例のないことだったので、当然ながら丁寧な説明が必要でした。石川さんにも入っていただき説明したからこそ得られた信頼だったと思います。

その後は実績を元に他の作家さんにも展開することができましたが、大事なのは「この作品を広めたいんだ」という意思の見える活動を継続して、信頼を寄せてもらうことだと考えていて。信頼はある日突然生み出されないので、結局、普段からの積み重ねなんですよね。

この1年ほどは、作家さん向けに新しいアプリの機能や取り組みを紹介するオンライン説明会を開催するようになったのですが、今までにない距離感を感じることができています。

中町 福西さんのおっしゃられた「信頼」は、私たちもすごく共感しますね。コミュニティは運営そのものがコンテンツ化することが重要だと考えているのですが、そのためにはまず公式が頼りにされる状況を作っていくこと、つまり「信用の蓄積」が大事だと思っています。

ファンの方々があげてくれる企画や機能改善の要望に対して、一つ一つ丁寧なコミュニケーションを重ねていく。そうして形成された信用の土台があるからこそ、新しいことにチャレンジできると感じています。

例えばNFTオークションを実施した時も、ファンからしてみれば「NFT」と言われてもよくわからないですし、一般的にオークションはファンから嫌悪される傾向にあります。ですが、コミュニティの活動を通じて「公式さん」としての信用が蓄積されている状態だったからこそ、受け入れてもらいやすかったのかなと思います。

その意味で、信頼、信用というものはコミュニティ運営のエンジンというか、とても重要なキーワードだなと感じました。

コンテンツを「読む」体験から、コンテンツに「関わり、ともに歩む」体験へ

——改めて、GANMA!コミュニティを通じてなにが得られたと感じますか?

福西 これまで、GANMA!というマンガアプリを通じて、マンガコンテンツを「読む」という体験価値を提供してきましたが、コミュニティによって「関わる」という体験価値が新たに加わったと感じています。

好きな作品に関わる機会を得られる場がコミュニティであり、その関わり方を支える土台や仕組みとしてブロックチェーン、NFTがある。そういった形で、ファンの方々の関わり方をどんどん広げて、誰でも知っているような大ヒットマンガをつくっていき、「マンガ家の職業価値を向上させ、子供たちの憧れの職業にする」というミッションに向けて取り組んでいきたいと思っています。

中町 「マンガコンテンツに関わる」は私も同感ですね。今までファンはコンテンツを「消費」することしかできなかったけれど、ブロックチェーン技術を活用することでコンテンツを「共創」することができるようになりました。

トークンエコノミーと呼ばれる、トークンから成り立つ経済の仕組みを活用することで、ファン主体の活動を活性化し、その活動を正しく評価、還元することのできるファン経済圏をつくっていきたいと思っています。

——さいごに、今後の展望についてお伺いさせてください。

福西 私は、いま自分が計画できない未来を創造していきたいと思っています。

作家さん、ファンのみなさん、Gaudiyさん、我々の4者がいて、コンテンツとファンが並列の関係であるからこそ生み出せる体験って色々あると思うんですね。例えばファンが共同出資する屋外広告なども取り組んでいきたいですし、様々なトライをしていきたい。

今はまだ想像できないキーワードが数年後に出てくることもあると思いますが、そういった新しいトライを先行できるプロジェクトチームでありたいですし、GANMA!以外のコンテンツにおいても当たり前に展開されていくような取り組みになるといいなと思っています。

足立 私はファンや作家の皆様の心を動かし続けることに、今後も挑戦していきたいです。その手段としてブロックチェーンや、 NFTなどのテクノロジーによる今までにない顧客体験の創出にトライしたいと思っています。作家様、ファンの皆様と一緒に、新しい感動体験を作り上げていきたいです。

中町 私も同じで、今後も「マンガコンテンツを読む」を超えたワクワクする体験を、新しい技術を使いながら作っていきたいです。コミックスマートさんと進めさせていただいているNFTを活用した「データ所有型電子書籍」もそのひとつだと思っていて、今後は紙の本と同じようにサインが貰えたり、友人と貸し借りができたりといった新しい体験を一緒につくっていけたらと思っています。

マンガは世界的にみても競争優位のある分野だと思うので、オンラインコミュニティを通じてグローバルにもファン経済圏を広げていきたいですね。

——ファン主体のコミュニティ、経済圏を作っていくからこそ、自分たちにも予想できないような新しい未来が生まれていくのかなとお話をお伺いして思いました。今後の展開も楽しみにしています。(了)

(取材・文:山本花香 / Gaudiy)